AIの進化で得をするのは誰か?『AIの壁』
養老孟司さんの『AIの壁』という本を読了しました。
AIの行末を様々な第一人者と対談している様子が書かれています。
AIが進化すれば、スマホのSiri機能やアレクサなど便利な部分は確かにあります。でもこういった物は本当に必要なのか?
良い部分だけでなく弊害もあるのです。それは、AIに仕事が奪われるという点です。
本の中に書かれていることでビックリしたことがあります。1960年代の脳腫瘍のコンピュータ診断精度は、当時のベテランの医師より高かったようなのです。
しかし、その導入に医師が反対をしたというものです。
このような例からも分かるように、人が介入するよりコンピュータが介入する方が、圧倒的に有利となるものは世界にはたくさんあります。それを全てAIなどで全自動にすれば一番得をするのは誰か?
人件費を大幅カットできるGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)などを中心としたプラットフォーム企業です。
人件費カットとして解雇された人々はどうなるのか?
このような問題が起こるので、AI開発はここまでで止めておこうといった議論も必要だと書かれてます。
そう考えると、今でもかなり便利な世の中なのにこれ以上便利にする必要があるのか?養老氏は、脳(AIなど)の進化に体が追いついていないと主張しています。
また、AIが人類を超えると言われていますが、人類はまだ細胞一つ完璧に作ることが出来ていません。ましては、細胞が集まった神経細胞、脳などはまだまだ人間が作ることができない。
意識の正体すらまだ分かっていないのです。
こうした、AIのこれからの可能性と限界、向き合い方などがよく分かります。
AIなどは理系の人たちに任せておけばよい、と言える問題ではないことを痛感させられます。