科学、本、映画の魅力をつぶやく ph-ガリレオ

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バナナと万有引力定数とのつながり,キャベンディッシュ?

 短編ミステリー小説『妖し(あやし)』というタイトルからして、あやしい本を読んでいます。


 その作品の中に、米澤穂信さんの「わたしキャベンディッシュ」というものがあります。


 この作品はバナナを題材としたミステリーとなっているのですが(中身は読んでみてください。)、バナナの知識が書かれています。


 バナナを今まで食べていて全く知らなかったのですが


 日本で食べられているバナナの品種は、ジャイアント・キャベンディッシュという名前だそうです。


 キャベンディッシュという名を聞くと、物理をしている人ならピンと来る人名だと思います。


 万有引力定数の間接的な測定、オームの法則(オームが発見する遥か前から発見していた)、クーロンの法則、水素の発見をしていたというイギリスの大科学者です。


 極端な人嫌いで、自分の研究成果を一切公表せず、死後研究結果が発見され、有名となった物理学者です。

 「沈黙の物理学者ヘンリー・キャベンディッシュ」として名前が知られています。


 さて、バナナは食べやすいように品種改良されており、種がありません。


 なので、増やす方法は株分け(茎から根を含む株を切り離して増やす。)です。この株分けにより、大量生産が可能となる訳ですが、同じ細胞から出来たクローンなので、致命的な病にかかると一気にその品種が絶滅します。


 実際に1950年代にあった品種は病にかかり、絶滅しています。

 その後の品種が、ウィリアム・キャベンディッシュ公(ヘンリー・キャベンディッシュの先祖)が発見したキャベンディッシュ種だったのです。


 まさか、バナナと万有引力定数の測定者のキャベンディッシュが繋がるとは


 小説自体も楽しかったですが、読んでから二度楽しめる作品でした。さすが、米澤穂信さんですね!