改めて知るニュートンのすごさ(最速降下曲線)
2点間を結ぶ曲線に物を転がした時、どんな曲線だと最速で他のもう1点に到着するか?という問題を最速降下曲線といいます。
結論はサイクロイドという曲線になります。車のタイヤに一つ目印を付けます。そのまま車が動いたときにタイヤの目印が描く線がサイクロイドです。サイクロイド→円運動+等速直線運動というわけです。
ジェットコースターのレールの曲線はサイクロイドに近く設計されています。
ちなみにサイクロイド曲線に沿って大阪ー東京間を移動すると、転がるだけですが8分で到着できます。
(じゃあ新幹線などでなくサイクロイドを掘れば?と思いますよね?しかし、それではあまりにもコストがかかりすぎるのです。)
この問題は1696年にスイスのベルヌーイが6カ月で解くように出題しましたが、当時は難問で誰も解けませんでした。
そこで、ライプニッツ(ニュートンと微分積分の先取権争いで有名)が1年半に伸ばすよう提案しました。
当時、ニュートンは様々な学問的発見の先取権争いに疲れていました。そこで、目立つことは極力避けていたようです。
そんなニュートンの元に最速降下曲線の問題が届きます。ニュートンは、次の日の朝に変分法という新たな数学的手法を作り出して解き、匿名でベルヌーイに送ったようです。
その時、ベルヌーイは次のように語っています。
「この鮮やかな爪痕は、あのライオンのものだ」
当時、これほど鮮やかな手法で解ける人物はただ一人しかいなかったということですね。
ニュートン御年55才…錬金術の研究からひ素、水銀中毒だったニュートンでしたが、頭脳の明晰さは一つも衰えていなかったようです。
かっこいいニュートンの逸話でした。
(『COSMOS 上』より抜粋)