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160億年に1秒しかずれない超高精度時計?!①

47日付のニュースで、高さ450mの東京スカイツリ―展望台では,地上よりも時刻が1日に10億分の4秒速く進んでいること香取秀俊東京大教授らが発見したとありました。

 

恐らく多くの人にとって、それだけ精密な時刻を測定して何になるの?という疑問が出てくると思います。今日は、その意義とそれを実現した「光格子時計」の仕組み(次回)について簡単に説明したいと思います。

 

アインシュタイン一般相対性理論によれば、重力が強い場所では時間がゆっくり進み、重力が弱い所では時間が早く進むという結果が理論的に予想されています。つまり、地球の表面から遠ざかるほど重力の影響は小さくなり、時間の進み方は早くなります。

 

現在普及している高精度の時計は、原子時計というものです。この時計で測定できる時刻のずれは、人工衛星やロケットに搭載する実験なら約1万キロの高低差が必要となります。

 

しかし、光格子時計を使えば450mの高低差でも時刻の差を測定することが可能となります。

 

つまり、重力に差が生まれると時刻がずれる  時刻のずれがあれば重力に何らかの差が発生している。という逆の発想が可能となります。

 

地下資源探査、地下空洞、マグマだまり、地殻変動などでは、場所によって重力が変化します。この重力の微妙な変化を、時刻の変化で間接的に検出ができる可能性があるのです。

これによって、もしかすると地震による事前の地殻変動や噴火する火山の前兆を捉えることができる可能性があります。

 

まとめると、正確な時計がもたらす意義としては大きく次の3つがあります。

1.一般相対性理論の正確性の更なる検証材料となる

2.微妙な時刻のずれによる重力異常を見つける。それによって起きる地殻変動を事前に察知する

3.超高精度のGPSの実現

 

この他にも、まだまだ応用できる技術があると思います。今後も目が離せない分野です。次回は、光格子時計の仕組みについて書かせてもらいます。