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チャンスは準備された心にのみ降り立つ

 新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか (小学館新書)

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか (小学館新書)

昨年末から読み始めた福岡伸一氏の『動的平衡』全3巻を読み終えました。


 この本がきっかけで、生命に対する興味が一気に高まりました。福岡氏の本は今後も読むつもりです。次は、『生物と無生物のあいだ』ですかね。


 『動的平衡3』の中に「チャンスは準備された心にのみ降り立つ」というものがありました。


 科学的大成果の発見者以外の科学者は、その成果を確認する中で、こんなことは俺にもうすうす分かっていたのにという思いを持つ。しかし、それはあとづけの悔恨にすぎない。

 科学的大成果の発見者と、それを逃す人の差は準備された心の有無である。(抜粋)


 恐らく、日頃から地道に研究をし、努力をし続けることで、砂の中の砂金に気付くことができる。この微妙な差を見分ける決め手が、準備された心なのだと思います。


 電磁誘導を発見した、19世紀を代表する科学者ファラデーにも次のような話があります。


 様々な実験を試行錯誤していたある日、ファラデーは電球をつないだ輪っかにした導線に、磁石を出し入れすることで電球が点いたり消えたりすることを発見します。


 これは大発見だ!と多くの通行人の前で披露しました。通行人は驚いたのですが、その中の一人がこう言います。「その発見は何の役に立つんですか?』ファラデー『あなたは、生まれた赤ん坊が何の役に立つか?と説明できますか?この発見はまだ赤ん坊だが、100年後に人類はこの発見にお金を払うことになるでしょう」と言います。今皆さんの周囲にある電気は、ほぼ全てこの電磁誘導で発生しています。


 ファラデーには、日頃から地道な研究や情報の収集という準備された心があったのだと思います。これが、大発見とそれを見逃す人の差なのだと思います。


 「日々入ってくる情報や、勉強したことはそれぞれは単なる点かもしれません。しかし、その点どうしに線を引くことができるのは、準備された心があるからだ」と著者は最後に締め括っています。


 『動的平衡』一度読んでください。自分の視野を大きく広げてくれます。